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 Disc Review Archive 2001.4〜6

凡例: アーティスト 『タイトル』 リリース年月

邦楽 洋楽 ジャズ

 ザ・バックホーン 「 サニー 」            2001.04

若いっていいなあ・・・。
大人の矛盾を切々と歌い上げるこのヴォーカル
スタイルには思わず熱くなります。
クールな演奏に熱いヴォーカル、この対比が
絶妙のバランスで成り立っている。
演奏の方は、スカっぽいリズムをベースにしていて
気持ちいいけど、緊張感も高いです。
演奏をじっくりと聴くと、なかなか器用な奴らだと
思うけど、どうでしょうか?
さて、ザ・バックホーンのメンバーは、
ヴォーカル:山田将司
ギター:菅波栄純
ドラムス:松田晋二
あれ? なんでベーシストが不在なんでしょうかね。

 COCCO 『 サングローズ 』            2001.04

こっこの事実上のラストアルバム。
前作くらいから思ってたが、こっこを例えると
人間に育てられたオオカミ、オオカミ人間の話に
似ている。
こっこが本来持っている本能・潜在能力を
生かすには、この日本の音楽業界というところは
あまりにも濁った空気すぎたのでは。
こっこが一番恐れたのは、マーケット化した
音楽業界の中で自らの感情・本能さえも
そぎ落とされる事だったのでは。
多分、もう、こっこの歌声はパッケージされる
ことは無いだろう。
このラストアルバムのキーとなる「風化風葬」、
ラストの「コーラルリーフ」の中には、
これまでの自分の歌・自分を信じてきた人たちへの
感謝の言葉を綴り、そして別れの言葉を語る優しい
清々しい表情のこっこがいる。

 orangepekoe 「 orangepekoe 」           2001.04

藤本一馬(G、B、Program)と長島智子(Vo)による
ポップス・ユニット、オレンジペコーの1stとなる、
4曲入りミニアルバム。
“NEW WORLD RECORDS”からリリース。
味付けはジャズ、ソウル、ボサノヴァとか、その辺。
音が軽くて非常に聴きやすく、初夏にピッタリ。
ただし、その聴きやすさが仇となっていて、
とりたてて個性が無いのが辛いトコロかも。
特に、リズムトラックにもうちょっと遊びや
斬新性があれば良かったんだけど。
ギターのみの伴奏で歌われる、スタジオライブ曲
「BOTTLE」がキラリと光る。
このユニット、ライブだと印象が変わるかもよ。

 golden syrup lovers 『 HUE 』            2001.05

大阪で93年に結成されたゴールデン・シロップ・
ラバーズ、98年の1stアルバムに続き、ようやく
待望の2ndアルバムが届けられた。
レーベルはUMMO Recordsから。
メンバーは、木村健(G,B,Synth,SE,Per)、
長辻利恵(Vo,G)、野村太史(Dr,Per)の3人。
紅一点、長辻の透明感のある愛らしいポップな歌声に
ソリッドな演奏が乗っかる音響系ギターロック。
まあ、言葉でいえばそんな感じだけど、音楽のバック
グラウンドがとても豊富で、へヴィー・メタル、
プログレッシブ・ロック、グランジ、エレクトロ、
サイケデリック、ネオアコ、グラム、次々と楽曲の
要素を織り合わせながら、更なる高い次元へ自身の
音楽を置こうとする気迫・姿勢のようなものが明確に
伝わってくる。
それとは、相反するが普遍的なポップさも十二分に
持ち合わせているのがこのバンドの強み。
勿論、長辻のヴォーカルがポップな味付けの最大要素
ではあるけども、それ以外のパートのフレーズや
ちょっとしたエフェクトが、とてもいいアクセントと
して楽曲に貢献している。
で、流れるような曲展開・曲構成もとても鮮やか。
全13曲、みんな私のお気に入り曲なんだけど、
特に挙げておきたいのが、
メランコリックでポップ、だけどハードでメタリック
な轟音にグサリとやられる、めちゃくちゃに
かっこいい「Cubic Transition」、
ニューウェイブを通過したトランス・ポップなネオ
アコ系とでも言ったらいいのか?「Kiss My Lips」、
プログレ的な展開で陰と陽のダイナミズムを一気に
聴かせる、13分の大作「Last Cruising」とかかな。
楽曲の持つ爆発力と大衆性を高次元でミックスした、
ゴールデン・シロップ・ラバーズの会心のアルバム
絶対にお勧め!

 石野卓球 Feat.七尾旅人 「 ラスト・シーン 」     2001.05

どういった経緯でこの組み合わせに至ったのか
良くわからないが最近の卓球得意の歌モノテクノ。
明るい曲調で懐かしくもある80’ダンステクノ。
収録リミックスもなんかレトロ〜な感じ。
何一つ難しい事やってないような感じだけど
テクノの世界では、なにやら小難しい事やると
評価が高い中で(最近はロックでもそうだね!)
こういった(一聴)解りやすい普通の歌モノで
勝負するところが卓球らしい。
80年代には、テクノ、ニューウェイブと歌謡曲を
急接近させた一大ムーブメントがあったが、
今この時代だからこそ、もう一度、あの奇妙な
現象を引き起こして欲しい。
卓球ならできる。21世紀に蘇るか、テクノ歌謡!

 EGO-WRAPPIN' 『 満ち汐のロマンス 』         2001.05

しかし、最近のエゴ・ラッピンの人気の高さは
一体何なんだろうか?
オリコンチャートの一桁台に居座るアルバムか?
そんなに大衆受けする音楽じゃないだろうって。
いや、心底このアルバム、このユニットを気に入って
くれているのならそれでいい。
セールス数からいって、この手のアーティストを
聴いたことのない人たちも多く購入しているハズ。
そういう人たちが、アルバム1枚通して聴いてみて
どんな印象を持ったかってのが凄く気になる。
まあ、少なくともこんな私のサイトを見ているような
どっぷりと音楽にはまっている人には関係ない話
だけどね。
さて、前置きが長くなったけども、メジャーデビュー
となるこのアルバム、「サイコアナルシス」のような
パワフルな曲は1曲もなし。
ひたすらジャジーでソウルフルでじっくりと聴かせる
ような曲ばかり。
特に中納良恵のヴォーカルはいつに増して絶品!
時にけだるく、時に艶っぽく、時にドスを利かせ、
かと思えば、するりと力を抜いたりと凄く器用。
「Calling me」〜「満ち汐のロマンス」の流れで
一日の疲れが全て癒される。

 サウンドトラック 『 けものがれ、俺らの猿と 』    2001.05

この夏公開の原作・町田康、監督・須永秀明、
主演・永瀬正敏の映画のサントラ盤。
音楽監修は曾田茂一なのだ。
しかし、どうなんだ、このアルバム全体を包み込む
澱んだ空気は。ここは魔界への入り口なのか?
ロマンポルシェ。、54−71、ゆらゆら帝国、
FOE、吐痙唾舐汰伽藍沙箱、NUMBER GIRL、
PEACE PILL、bloodthirsty butchers、
ASA-CHANG & 巡礼、そして會田氏によるインスト
小品が8曲。
そのどれもがタフでヘヴィー、真昼の照り付く
太陽よりも、星一つ出ない真夜中の月の下が似合う、
頭の中では常に爆音が鳴り響いているような連中。
どいつも個性的で枠をはみ出そうとするところを
會田氏がキッチリとまとめているのは流石。
映画抜きでも楽しめること間違いなしだが、
映画でどのシーンにどんな曲が流れるかってのも
楽しみな一つ。
参加アーティストの一つでも好きなアーティストが
いたら是非、聴いてみることをお勧めする。
最後に、このサントラのラストに収録されている
ASA-CHANG & 巡礼の「花」。
美しくも儚く、過去も未来も、東洋も西洋をも超越
した4次元の音を鳴らす彼らの“音”をまだ聴いて
ない人は、取り急ぎこの曲だけでもチェックすべし。

 COSMIC VILLAGE 「 T.B.D / WYG2 」         2001.05

ヨーロッパで活躍するコズミック・ヴィレッジの
日本でのリリースとなる久々のマキシシングル。
6月20日にはニューアルバムもリリース。
さて、今回のマキシシングルは2曲+各曲の
リミックスの計4曲収録。
女性ヴォーカリスト、Lori Fineをフューチャーした
「T.B.D」は疾走するフュージョン感覚あふれる曲で、
「WYG2」は吉澤さんのヴォーカルと黒羽さんのギター
がロックっぽくてかっこいい。
現在のクラブ・ミュージックの主流ともいえる
このサウンド、理屈抜きに素敵!

 aiko 『 夏服 』                 2001.06

aikoの3rdアルバム。
「カブトムシ」の頃からだろうか、ずっとaikoが
気になっていた。
既存の殻を突き破ろうとするモノには惜しみなく応援
する、という私の一つのポリシーがそうさせるのか。
そう、aikoもやはり普通のポップスの歌い手
じゃなかった。
ソングライターとしての才能も優秀であることは、
独特の譜割、起伏で構成されたメロディラインを持つ
一連のヒット曲で十分に確認できる。
また、それらの曲からは既存のポップスに埋もれまい
とする強い意志をも感じられる。
そして、「ボーイフレンド」の歌詞に出てくる
“テトラポット”が実は商品名だということから
某国営放送局で放送禁止となるかも、というときも
歌詞を変えるつもりは無いとの強い意志。
自分の産んだ曲に対する愛情を持ってればこその事。
それから彼女の曲って、4分間のドラマの結末の
盛り上げ方が特に上手いなあと思う。
曲のラストにせつなさ、愛しさを最大限に表現しきる
aikoの感情表現力にすっかり虜です、私は。
「ボーイフレンド」「初恋」「ロージー」のヒット曲
を収録した全11曲。

 BLACK BOTTOM BRASS BAND 『 KINSYASA! 』      2001.06

このクソ暑い真夏に、火に油を注いだかのような
暑苦しさ満点のBBBBの6曲入りミニアルバム。
ラテンやサルサも取り入れて、もう徹底した真夏仕様
となっております。まさに灼熱地獄。
彼らはニューオーリンズを旅発って、南半球へと
行ってしまったのね・・・。
更にはズボンズからドン・マツオとピロを呼び寄せて
の一大ファンク大会へとなだれ込む「B.B.TRAIN」が
また、聴いてても汗が飛び散るほど暑い。
BBBBの5人のホーン隊も、ドンに誘発されてか
吠える、吠える。
ここ数年で多くのスカ系バンドが出てきたなかで
やはりBBBBは違う。
展開、力配分、コントロールがとても上手く
大人数(といっても7人)でもキチンと意志疎通、
1曲1曲の方向性がしっかりしてる。
そこら辺が聴いてて気持ちよいかどうかだと思う。
あ、なんか暑さも心地よい暑さに思えてきたぞ。

 Mr.Tobacco 『 Endless Night 』           2001.06

京都で新しく発足したレーベル、“SPOTLIGHT”からの
第一弾リリースとなる、Mr.Tobacco。
元々、“SPOTLIGHT”はライブハウス、京都METLO
で定期的に主催されているレイブ、エレクトロ系の
パーティーの企画をしている集団である。
このユニット、Mr.Tobaccoはその“SPOTLIGHT”の
クルーを中心に、関係の深いアーティストも参加した
匿名集団なのだ。
そんな予備知識は一切知らなくてもOK。
日本のエレクトロシーンの最前線にいる奴らの、
音の切れやビート感が十二分に楽しめる。
変にシリアスにならず、親しげな音をチョイスして
いて懐かしのチープ系サウンドかと思えば、斬新な
リズムやサンプリング、ビートの洗礼を浴びせるなど
非常に間口が広いサウンドを展開している。
とても一筋縄では行かない切れモノ集団である。
しかも、相当にセンスがいい。一歩間違うと単なる
回顧的なネタの使い回しのサンプリングで終わる
ところを非常に上手くエディットしている。
そして、どの曲も非常に聴きやすく、ポップである!
日本のエレクトロシーンは彼らを中心に回る!



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